Windowsの「以前のバージョン」タブはなぜ重要か?
Windowsを利用していると、誤ってファイルを削除してしまったり、重要な書類を上書きしてしまったりする経験はありませんか?そんな時、Windowsに標準搭載されている「以前のバージョン」機能が非常に役立ちます。この機能は、ファイルやフォルダが過去にどのような状態だったかを記録した「シャドウコピー」を利用して、以前の状態に復元することを可能にします。
しかし、いざという時にエクスプローラーでファイルやフォルダのプロパティを開いても、「以前のバージョン」タブが表示されなかったり、表示されても内容が空っぽだったりすることがあります。これは非常に困りますよね。
本記事では、「以前のバージョン」タブが表示されない、または機能しない主な原因と、その解決策を初級者の方にも分かりやすく解説します。特に、鍵となる「VSS(Volume Shadow Copy)」サービスの起動方法について、GUIとコマンドラインの両方で具体的な手順をご紹介します。
「以前のバージョン」タブとは?
「以前のバージョン」タブは、Windowsのシステム保護機能によって作成された「シャドウコピー」から、ファイルやフォルダの過去の状態を参照・復元できる機能です。これにより、以下のことが可能になります。
- 誤って削除したファイルを復元する。
- 上書き保存してしまったファイルの以前のバージョンに戻す。
- マルウェア感染などでファイルが破損した場合に、感染前の状態に戻す。
この機能は、日々の業務におけるデータ損失のリスクを大幅に軽減してくれる、非常に強力なツールなのです。
「以前のバージョン」タブが表示されない主な原因はVSSサービス
「以前のバージョン」タブが表示されない、または機能しない最も一般的な原因は、VSS(Volume Shadow Copy)サービスが停止していることです。VSSサービスは、シャドウコピーを作成・管理するためのWindowsの基盤サービスであり、これが動作していなければ、「以前のバージョン」機能は利用できません。
その他にも、以下のような原因が考えられますが、まずはVSSサービスの状況を確認することが第一歩です。
- システム保護が無効になっている。
- シャドウコピーを保存するディスク容量が不足している。
- システムファイルが破損している。
解決策1: VSSサービスを手動で起動する(GUI編)
まずは、Windowsのサービス管理ツールを使ってVSSサービスの状態を確認し、必要であれば起動する手順を解説します。これは、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)での操作なので、パソコン操作に慣れていない方でも比較的簡単に行えます。
手順
- 「サービス」管理ツールを開く
- Windowsの検索バーに「サービス」と入力し、「サービス」アプリをクリックして開きます。
- または、「ファイル名を指定して実行」(Windowsキー + R)から「
services.msc」と入力してEnterキーを押します。
- VSSサービスを探す
サービスの一覧の中から「Volume Shadow Copy」を探してクリックします。 - サービスの状態を確認・起動する
- 「Volume Shadow Copy」の「状態」が「実行中」になっていれば、サービスは動作しています。
- 「停止」になっている場合は、左側の「サービスの開始」をクリックするか、サービス名を右クリックして「開始」を選択します。
- スタートアップの種類を設定する(推奨)
サービスの開始後、今後も自動的に起動するように設定を変更することをおすすめします。- 「Volume Shadow Copy」をダブルクリックしてプロパティを開きます。
- 「スタートアップの種類」を「自動」に設定し、「適用」→「OK」をクリックします。
サービスが起動したら、もう一度ファイルやフォルダのプロパティを開き、「以前のバージョン」タブが表示されるか、内容が更新されているかを確認してください。
解決策2: VSSサービスをコマンドプロンプト/PowerShellで起動する(CUI編)
GUI操作よりも、コマンドラインでの操作に慣れている方や、複数のPCで一括して設定を行いたい場合は、コマンドプロンプトやPowerShellを使用すると便利です。
手順(コマンドプロンプト)
- 管理者としてコマンドプロンプトを開く
Windowsの検索バーに「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。 - VSSサービスを開始するコマンドを実行
以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。net start vssサービスが正常に開始されれば、「Volume Shadow Copy サービスを開始します。」というメッセージが表示されます。
- スタートアップの種類を「自動」に設定する(推奨)
以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。sc config vss start= autoこれにより、次回Windows起動時からもVSSサービスが自動的に開始されるようになります。
手順(PowerShell)
- 管理者としてPowerShellを開く
Windowsの検索バーに「powershell」と入力し、「Windows PowerShell」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。 - VSSサービスを開始するコマンドを実行
以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。Start-Service -Name "VSS" - スタートアップの種類を「自動」に設定する(推奨)
以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。Set-Service -Name "VSS" -StartupType Automatic
その他の確認事項
VSSサービスを起動しても「以前のバージョン」タブが機能しない場合、以下の点も確認してみてください。
システム保護が有効になっているか?
「以前のバージョン」機能は、システム保護機能の一部です。システム保護が無効になっていると、シャドウコピーは作成されません。
- Windowsの検索バーに「復元ポイント」と入力し、「復元ポイントの作成」をクリックして「システムのプロパティ」を開きます。
- 「システムの保護」タブで、シャドウコピーを作成したいドライブ(通常はC:ドライブ)の「保護」が「オン」になっていることを確認します。
- 「オフ」になっている場合は、対象ドライブを選択して「構成」をクリックし、「システムの保護を有効にする」にチェックを入れて「適用」→「OK」をクリックします。
シャドウコピーの保存領域が確保されているか?
シャドウコピーを保存するためのディスク領域が不足していると、新しいシャドウコピーが作成されません。
- 上記「システムのプロパティ」の「システムの保護」タブで、対象ドライブを選択して「構成」をクリックします。
- 「ディスク領域の使用量」セクションで、「最大使用量」が適切に設定されているか、また「現在の使用量」に余裕があるかを確認します。必要に応じてスライダーを動かして最大使用量を増やしてください。
まとめ
Windowsの「以前のバージョン」タブが表示されない、または機能しない問題は、ほとんどの場合、Volume Shadow Copy(VSS)サービスが停止していることが原因です。本記事で紹介したGUIまたはコマンドラインによるVSSサービスの起動手順を実行することで、この便利なファイル復元機能を復活させることができます。
万が一のデータ損失に備え、VSSサービスが常に動作し、システム保護が有効になっていることを定期的に確認することをお勧めします。これらの知識があれば、もう突然のファイル消失に慌てることはありませんね。ぜひ、日々の業務に活かしてください。


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